• 2016/11/16
  • 大塚芽衣コラム

大塚芽衣ブログVol.23【コンテンポラリー・ダンスについて】

来年度、3月4日(土)横浜の青少年センターという会場にて
11年ぶりのコンテ公演を始めます。ちょうどニッチな記事ですね。

私が、ダンスを知るきっかけは、森山開次さんの舞台でした。
テレビでたまたま特集が組まれ、なーんとなく時間が有り余っていた私は
なんだか面白そうだから、一度行ってみようかなー。ってノリです(笑)

それが、私にとってダンスはじめましてであり、コンテンポラリーダンスのはじめまして。
以降ホール、小劇場、大小、色んな公演を観に行きました。
そのうち、自分でも企画してみたいと思い始め、映像、奏者、ダンサーの方を公募し、
都内で公演を始めるようになります。

途中で切れてますし画質悪いですがが、初作品の貴重な記録映像(笑)


その過程で、基礎がバレエなんだと知り、大学のバレエ科の人達と仲良くなり始め、
卒業後に、アキバレエスタジオを始めるきっかけが出来た。
といった感じ。
さて、本日は、大塚さんのコンテンポラリー・ダンスについてです。

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皆様、お久しぶりです!大塚です。
 
さて、今回は「コンテンポラリー・ダンス」についてです。
 
お教室でお配りしているプリンシパルで、コンクールについてのコラムを書かせていただきましたが、
そちらとも少し関連しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 
さて、そのコンテンポラリー・ダンス。 今やバレエ界では踊れて当然、
コンテンポラリーが踊れないダンサーは長くはない、とまで言われています。

コンテンポラリーってなんなの!?
コンテンポラリー・ダンスは発祥はフランス。

本来は「ダンス・コンテンポランヌ」(danse contemporaine)と言います。
それを英訳にすると、コンテンポラリー・ダンス(contemporary dance)となるわけです。

本来は1960年代以降の前衛的なダンスがルーツとも言われていますが、
現在のコンテンポラリーは 1980年代のフランスが発祥となっています。

バレエと比べると、とても若いダンスジャンルと言えます。
クラシックに比べると、モダンの色が色濃いのがコンテンポラリーの特徴です。


コンテンポラリーはモダンの祖とも言われているイサドラ・ダンカンというダンサーや
マーサ・グラハム、マース・カニンガムたちが作り上げた
「ポスト・モダンダンス」以降のダンスの事を指していました。
イサドラ・ダンカン.jpg
※イサドラ・ダンカン


しかし、創作意欲に燃える先人たちは、
ありとあらゆるダンスやパフォーマンス、
果ては演出まで、とにかく 入れられるものは何でも入れろ!
パフォーマンスに終わりは無い!と言わんばかりに
各国、各ジャンル、いろいろな 動きやパフォーマンス、演出を取り入れ、現在のものとなりました。


芸術家たちの思考回路はいつだって意味不明。
誰でも知っているピカソを例にしてみましょう。


ピカソは、芸術家たちの中でもサラブレッド中のサラブレッド、天才中の天才。
まさに天衣無縫でした。
ピカソの有名な作品の一つとして「ゲルニカ」があります。
ゲルニカ.jpg

見た事ありますよね、この絵。
ぶっちゃけ、この絵を見ただけだと、何を主題にして描いたのかまっったくわかりません。

ゲルニカは、
ドイツ軍によるゲルニカの街への無差別爆撃を主題にした絵画(?)

になるのですが、 説明されてみると、
「ああ~~なんか、う~~ん、それっぽいかも?????」となります。


子どもからしたら「なんだピカソめっちゃ絵下手じゃん」となる。
けれど、ピカソ、さすが神童。
 
14歳で、すでにこのレベルの絵を描いています。"""。
ピカソ14.jpg

 
これだったら、誰がどう見ても、何をしている絵なのか、どんなに小さい子でも、
ここに描かれている物が人間であるということがわかります。

クラシックも同じで、誰がどう見ても
「コレは金平糖の精ね」「これはジュリエットね」と分かりますよね。

ゲルニカ=コンテンポラリー

ピカソの14歳の時の絵画=クラシック という表現が一番分かりやすいと思います。

コンテンポラリーはひたすら、前衛的。

芸術家たちの実験、それがコンテンポラリーダンスです。


 
近年、コンテンポラリーの踊れないダンサーは長くない
第二次世界大戦が終わり、日本で言う昭和を終え、平成も28年過ぎてくれば、
日本もそして、大戦を終えた各国も、 戦争の傷を癒し終わり、文化的に大きく飛躍しました。

その中で、やはりダンスや芸術と言ったジャンルも大きく変わり、
バレエ人口も実力の水準も大きく伸びてきています。

クラシックバレエは古典もので、「役柄とストーリーがある程度固定されている」ものが多く、
演じるのにも対して苦労はしません。

しかし、だからこそ、古典ものだからこそ、
「クラシックを踊れる人間は、世界に掃いて捨てるほどいる」というのが、
世界の現状なのです。

ダンサーは芸術家(振付家)たちの絵の具や額縁であり、ダンサー自身もまた、芸術家です。

コンテンポラリーは、クラシックと違い、村娘や姫という役柄ではなく、
作品によっては、「風」だったり「空」 だったり、果ては「概念そのもの」
を役として踊らなくてはなりません。

そのための表現力、パフォーマンスというのは今のダンサーにとって、必須。

そのため、より豊かな表現力をもったダンサーを世に送り出すため、
大きなコンクールでは、コンテンポラリーも審査対象に入っているのです。

クラシックだけでもだめ、コンテンポラリーだけでもだめ。
 
コンテンポラリーはモダンバレエが元だ、と前述させていただきましたね。

クラシックバレエもモダンバレエもちょっと表現方法が違うだけで、同じバレエなのです。

クラシックには伝統に則った美しい型と上品な表現力が、
コンテンポラリーには驚異的な身体能力と燃えるような表現力がそれぞれ必要になります。

そのどちらも、「バレエとしての基礎があるから」
こそ、演じる事のできるものです。

 
 

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