• 2016/11/02
  • 大塚芽衣コラム

大塚芽衣ブログVol.22【【【コンクールの裏側2】プリンシパルデザイナー大塚さん記事抜粋】

前回の続き


ある程度年齢と実力が成熟してくると、得意な物ばかりではなく、演技の幅を広げるため、あえて苦手なものを選んで出場する、
というのも聞いた事があります。

ローザンヌやヴェネツィア国際、世界的に大きなコンクールになると、以下のような手順で進んで行きます。

【例:ローザンヌの場合】
①健康書類審査
Growth Diagram(成長過程における身長及び体重のデータ)
State of Health(健康状態に関するアンケート)
Eating Attitude Test(食生活に関するアンケート)

この3つの書類を提出し、ローザンヌのコンサルタント医師が健康を考慮し、審査をします。

この中で、拒食症の気があったり、年齢に対して体重が少なすぎるなど、
バレエを続ける上で健康を保てない場合などはこの時点で審査から外され、次のステージに進む事が出来ません。


②ビデオ審査
自身の教室で、普段のレッスンとコンテンポラリーのアンシェヌマン、もしくはヴァリエーションのビデオを提出します。
ちなみに、この時点で体型などを理由に審査を落ちたりもするらしいです。


③5日間の審査
(いわゆる予選)1〜4日間の間はクラシックとコンテンポラリーのクラスを受講し、それを審査員が採点します。
そして5日目にクラシックのヴァリエーションと、コンテンポラリーのヴァリエーションを舞台上で演技し、
審査員が最終審査をします。

この5日間の間に、身体的、技術的に不十分と判断された場合、次のステージへは進めません。
(予選敗退)

ここで選ばれた人だけが決戦へと進む事が出来ます。

④決戦5日間の予選を生き残った20名前後のダンサーで決戦を争います。

クラシックの課題曲から1曲、コンテンポラリーの課題曲から1曲です。
そうして、この決戦で良い成績、良い演技をすれば、晴れてローゼンヌ国際金賞を取ることができます。


◆コンクールに出場することは成長のチャンス
人は挑戦する事で成長できる生き物です。それが例え失敗や負けだとしても、
人間は失敗から学ぶことができる生き物ですし、それだけ人間的に成長できるのです。

強い意志を持って、何かに挑戦し、やり遂げる経験は、人生でとても大切な宝物となるでしょう。

コンクールに出た結果が優勝でなかったとしても、
「自分はどうして優勝できなかったんだろう」と原因を追求、改善するキッカケとなります。

後悔先に立たず、と言いますが、その後悔を成長の燃料にすれば良いのです。

一番良くないのは、「適当に出場する」ことです。

自分が勝つため、みんな真剣に取り組んでいるコンクールで「お遊びでの出場」
真剣に取り組んでいる子のチャンスを巡り巡って潰すことにもなります。

出るならば全力。全身全霊で、勝ちを取りに行きましょう!


◆怖い事も書いたけれど、何事も経験。
今、日本ではバレエ人口が多く、コンクールも名門から無名までたくさんのコンクールがあります。

コンクールに出た事も無いのに、どう覚悟を決めれば良いの?

という方は、まずは本当に小さなコンクールから挑戦してみてはいかがでしょうか?

小さなコンクールから始めて、だんだんと大きいコンクールへと目指して行ってください。
目標が明確化される事によって、子どもたちもきっとよりいっそうレッスンに燃えるはずです。

勝つ事も負ける事も、とても怖い事ですが、
それを乗り越えて立派な大人へと成長してください。

そして、応援している皆様は勝っても負けても、全力を尽くした出場者を大きな拍手で出迎えて上げてください。
バレエは芸術ですが、競い合う以上は、スポーツマンシップを大切にしましょう。

コラム:大塚芽衣

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